今回は、IT業務でよく目にする「JSONファイル」について、基本から解説していきます。
設定ファイルやログファイル、API通信など、様々な場面で登場するJSONですが、その構造を理解すれば決して難しいものではありません。
JSONとは何か
JSON(JavaScript Object Notation)は、データを記述するためのテキスト形式のファイルフォーマットです。元々はJavaScriptから派生した形式ですが、現在ではプログラミング言語に依存しない標準的なデータ交換フォーマットとして広く使われています。
JSONの最大の特徴は「人間にも機械にも読みやすい」という点です。構造がシンプルで視覚的に理解しやすいため、設定ファイルの編集や、システム間のデータ通信など、様々な用途で採用されています。
JSONの基本構造
JSONファイルの基本構造は、非常にシンプルです。主に以下の2つの構造で構成されています。
1. オブジェクト(Object)
オブジェクトは「キー(名前)」と「値(データ)」のペアを波括弧 {} で囲んだ構造です。
{
"name": "山田太郎",
"age": 30,
"department": "システム部"
}
この例では、name、age、department がキーで、それぞれに対応する値が設定されています。キーは必ずダブルクォーテーション(")で囲む必要があります。
2. 配列(Array)
配列は複数の値を角括弧 [] で囲んだ構造です。
{
"servers": ["web-server01", "web-server02", "db-server01"]
}
配列内には、文字列、数値、オブジェクト、さらに別の配列を含めることができます。
データ型
JSONで扱えるデータ型は以下の6種類です。
- 文字列(String): ダブルクォーテーションで囲む
"文字列" - 数値(Number): そのまま記述
123または45.67 - 真偽値(Boolean):
trueまたはfalse - null: 値が存在しないことを表す
null - オブジェクト:
{}で囲まれた構造 - 配列:
[]で囲まれた構造
実際の記述例
実務でよく見るJSONファイルの例を見てみましょう。
{
"serverConfig": {
"hostname": "app-server01",
"ipAddress": "192.168.1.100",
"port": 8080,
"sslEnabled": true,
"maxConnections": 1000,
"allowedIPs": [
"192.168.1.10",
"192.168.1.20",
"192.168.1.30"
],
"database": {
"host": "db-server01",
"port": 3306,
"username": "appuser",
"ssl": true
}
}
}
この例では、サーバーの設定情報が階層的に整理されています。オブジェクトの中にオブジェクトや配列が含まれている複雑な構造ですが、インデント(字下げ)によって視覚的に分かりやすくなっています。
Windows環境でのJSONファイル確認方法
Windows環境でJSONファイルを確認・編集する方法をご紹介します。
メモ帳での確認
最もシンプルな方法は、Windowsの標準アプリ「メモ帳」で開くことです。
- JSONファイルを右クリック
- 「プログラムから開く」→「メモ帳」を選択
ただし、メモ帳では構文のハイライトがないため、大きなファイルの場合は見づらくなります。
Visual Studio Codeでの確認(推奨)
より快適に編集するには、Visual Studio Code(無料)の使用をお勧めします。
- VS Codeをインストール
- JSONファイルを開く
- 自動的に構文がカラー表示され、構造が理解しやすくなります
VS Codeでは、JSONの構文エラーも自動的に検出してくれるため、初心者でも安心して編集できます。
PowerShellでの検証
Windows PowerShellを使って、JSONファイルの構文が正しいか確認することもできます。
Get-Content "C:\config\settings.json" | ConvertFrom-Json
このコマンドでエラーが出なければ、JSONの構文は正しいということになります。
実務での活用例
JSONファイルは様々な場面で使用されています。
1. アプリケーションの設定ファイル
多くのアプリケーションがJSONを設定ファイルとして採用しています。例えば、Node.jsのpackage.jsonや、VS Codeのsettings.jsonなどです。
2. APIのデータ通信
WebAPIでは、JSONがデータ送受信の標準フォーマットとして使用されています。サーバーとクライアント間でデータをやり取りする際、JSONで構造化されたデータが送信されます。
3. ログファイルの出力形式
システムのログをJSON形式で出力することで、ログ解析ツールでの処理が容易になります。構造化されたログは検索や集計が行いやすいためです。
4. 設定の自動化スクリプト
PowerShellやPythonなどのスクリプトで設定情報を読み込む際、JSON形式で保存しておくと、プログラムから簡単に読み込んで使用できます。
よくある間違いと注意点
初心者がJSONを扱う際によく陥る間違いをご紹介します。
1. カンマの位置
// ❌ 間違い:最後の要素の後にカンマがある
{
"name": "山田太郎",
"age": 30,
}
// ✅ 正しい:最後の要素の後にカンマは不要
{
"name": "山田太郎",
"age": 30
}
配列やオブジェクトの最後の要素の後にカンマを付けてしまうと、エラーになります。
2. キーのクォーテーション
// ❌ 間違い:キーにクォーテーションがない
{
name: "山田太郎"
}
// ✅ 正しい:キーは必ずダブルクォーテーションで囲む
{
"name": "山田太郎"
}
JSONでは、キーは必ずダブルクォーテーションで囲む必要があります。シングルクォーテーション(')も使用できません。
3. コメントの記述
JSONの仕様では、コメントを記述することができません。設定ファイルとして使う場合、コメントを入れたくなりますが、標準的なJSONではサポートされていないため注意が必要です。
4. 文字コードの問題
Windows環境でメモ帳を使って編集する際、文字コードが「ANSI」になっていると、日本語が正しく表示されないことがあります。「UTF-8」で保存するようにしましょう。
5. 構造の階層が深すぎる
JSONは階層構造を作れますが、あまり深くネストさせすぎると可読性が低下します。3〜4階層程度に抑えることを意識しましょう。
JSONとXMLの違い
似たようなデータ形式として「XML」がありますが、JSONとXMLにはいくつかの違いがあります。
JSON
- 記述がシンプルで読みやすい
- データサイズが小さい
- JavaScriptと親和性が高い
- 配列の表現が直感的
XML
- タグで構造を表現
- 属性を持てる
- より複雑なデータ構造に対応
- スキーマ定義が厳密
最近のWeb開発では、シンプルで軽量なJSONが主流となっています。
まとめ
JSONファイルは、一見複雑に見えるかもしれませんが、基本的な構造は「オブジェクト」と「配列」のシンプルな組み合わせです。以下のポイントを押さえておけば、十分に理解できます。
- キーと値のペアを波括弧
{}で囲む - 配列は角括弧
[]で囲む - キーは必ずダブルクォーテーションで囲む
- 最後の要素の後にカンマは付けない
- インデントを使って視覚的に見やすくする
実務でJSONファイルに遭遇したら、まずは構造をよく観察してください。階層構造を意識しながら読んでいくと、どのようなデータが格納されているのかが理解できるはずです。
最初は少し戸惑うかもしれませんが、何度か触れているうちに自然と読めるようになります。この記事を参考に、ぜひJSONファイルを実際に開いて確認してみてください。


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