【AWS】 Transit Gateway(トランジットゲートウェイ)とは?基本概念から使い方まで徹底解説

AWS

今回は、AWS(Amazon Web Services)のネットワーク接続を効率化する重要なサービスである「Transit Gateway(トランジットゲートウェイ)」について、分かりやすく解説いたします。

AWSでシステムを構築する際、複数のVPC(Virtual Private Cloud)やオンプレミス環境を接続する必要が出てくることがあります。そのような場合に、Transit Gatewayは非常に強力なソリューションとなります。

本記事では、Transit Gatewayの基本概念、仕組み、他のゲートウェイとの違い、そして実際の利用シーンまで詳しく説明していきます。

Transit Gatewayとは何か

AWS Transit Gatewayは、複数のVPCやオンプレミスネットワークを相互接続するための中央ハブとして機能するネットワークサービスです。2018年11月にAWSから発表され、従来の複雑なネットワーク構成を大幅に簡素化することができるようになりました。

従来、複数のVPC間を接続する場合には「VPCピアリング」という方法が主流でした。しかし、VPCピアリングは1対1の接続であるため、VPCの数が増えるにつれて接続の管理が複雑化し、ネットワーク構成が「メッシュ型」になってしまうという課題がありました。例えば、5つのVPCを全て相互接続しようとすると、10個のピアリング接続が必要になります。

Transit Gatewayは、このような課題を解決するために、中央集約型の「ハブ&スポーク」モデルを採用しています。全てのVPCやネットワークをTransit Gatewayという中央のハブに接続することで、ネットワーク構成がシンプルになり、管理が容易になります。

Transit Gatewayの仕組み

Transit Gatewayは、リージョナルなリソースとして動作し、同一リージョン内の複数のVPCを接続することができます。また、AWS Direct ConnectやVPN接続を通じてオンプレミスのネットワークとも接続可能です。

主な構成要素

Transit Gatewayを理解するためには、以下の主要な構成要素を知っておく必要があります。

Transit Gateway本体
中央ハブとして機能するリソースです。作成すると、リージョン内で一意のIDが割り当てられます。

アタッチメント(Attachment)
Transit GatewayとVPC、VPN、Direct Connectなどを接続するための論理的な接続点です。VPCをTransit Gatewayに接続する際には、VPCアタッチメントを作成します。

ルートテーブル
Transit Gateway内でトラフィックをどのように転送するかを制御するためのルーティング設定です。複数のルートテーブルを作成し、異なるセグメント間の通信を制御することができます。

データの流れ

例えば、VPC-AからVPC-Bへ通信する場合、以下のような流れになります。

  1. VPC-A内のリソースがVPC-Bのアドレス宛にパケットを送信
  2. VPC-AのルートテーブルでTransit Gatewayへルーティング
  3. Transit Gatewayがパケットを受信し、自身のルートテーブルを参照
  4. Transit GatewayからVPC-Bへパケットを転送
  5. VPC-B内のリソースがパケットを受信

このように、Transit Gatewayが中継地点として機能することで、VPC間の直接接続を不要にします。

Internet GatewayとTransit Gatewayの違い

初心者の方が混乱しやすいポイントとして、「Internet Gateway(インターネットゲートウェイ)」と「Transit Gateway」の違いがあります。名前は似ていますが、役割は全く異なります。

Internet Gatewayとは

Internet Gatewayは、VPC内のリソースがインターネットと通信するためのゲートウェイです。パブリックサブネット内のEC2インスタンスなどがインターネットにアクセスする際に必要となります。主な役割は以下の通りです。

  • VPCとインターネット間の通信を可能にする
  • NAT(ネットワークアドレス変換)機能を提供
  • 1つのVPCに1つのInternet Gatewayを接続

両者の比較表

以下の表で、Internet GatewayとTransit Gatewayの違いを明確にします。

項目 Internet Gateway Transit Gateway
主な用途 VPCとインターネット間の通信 VPC間、VPCとオンプレミス間の通信
接続対象 インターネット 複数のVPC、VPN、Direct Connect
接続数 1 VPCに1つ 1つのTransit Gatewayに複数のVPCを接続可能
トラフィック方向 南北方向(インターネットとの出入り) 東西方向(VPC間やオンプレミスとの横方向)
料金体系 無料(データ転送料金のみ) 時間単位の料金+データ処理料金
主な機能 インターネットアクセス、NAT ネットワーク集約、ルーティング制御
冗長性 AWS管理による高可用性 AWS管理による高可用性(マルチAZ)

この表から分かるように、Internet Gatewayは「外部との接続」、Transit Gatewayは「内部ネットワークの統合」という明確な役割の違いがあります。実際のシステム構築では、両方を併用することが一般的です。

Transit Gatewayの主なユースケース

Transit Gatewayがどのような場面で有効なのか、具体的なユースケースを紹介します。

ユースケース1:マルチVPC環境の統合

企業が複数のプロジェクトや部門ごとにVPCを分けて管理している場合、Transit Gatewayを使うことで全てのVPCを効率的に接続できます。例えば、開発環境用VPC、ステージング環境用VPC、本番環境用VPCがある場合、それぞれをTransit Gatewayに接続することで、必要に応じて環境間の通信を実現できます。

ユースケース2:ハイブリッドクラウド構成

オンプレミスのデータセンターとAWSクラウドを併用するハイブリッドクラウド環境では、Transit GatewayとDirect ConnectまたはVPNを組み合わせることで、オンプレミスから複数のVPCへのアクセスを一元管理できます。これにより、オンプレミス側のネットワーク設定が簡素化されます。

ユースケース3:リージョン間接続

Transit Gateway Peeringという機能を使うことで、異なるAWSリージョンにあるTransit Gateway同士を接続できます。グローバルに展開するシステムで、東京リージョンとバージニアリージョンのネットワークを統合したい場合などに有効です。

ユースケース4:セキュリティ要件に応じたネットワーク分離

Transit Gatewayのルートテーブルを複数作成し、アタッチメントごとに異なるルートテーブルを関連付けることで、ネットワークセグメントを論理的に分離できます。例えば、本番環境と開発環境は同じTransit Gatewayに接続しつつ、相互に通信できないように制御することが可能です。

Transit Gateway利用時のベストプラクティス

Transit Gatewayを効果的に活用するために、以下のベストプラクティスを参考にしてください。

1. ルートテーブル設計を事前に計画する

Transit Gatewayの導入前に、どのVPC間で通信を許可し、どのVPC間を分離するかを明確にしておきましょう。ルートテーブルの設計が不十分だと、後からの変更が煩雑になる可能性があります。ネットワーク図を作成し、通信フローを可視化することをお勧めします。

2. タグ付けによる管理

Transit Gatewayやアタッチメントには、適切なタグを付けて管理しましょう。環境(Production、Staging、Development)、プロジェクト名、コストセンターなどのタグを付けることで、後から管理や費用配分が容易になります。

3. CloudWatchによる監視

Transit Gatewayは、Amazon CloudWatchメトリクスを提供しています。バイト数、パケット数、パケットドロップ数などのメトリクスを監視することで、ネットワークのパフォーマンスや問題を早期に検出できます。必要に応じてアラームを設定しましょう。

4. コスト最適化を意識する

Transit Gatewayは時間単位の料金とデータ処理料金が発生します。不要なアタッチメントは削除し、トラフィックパターンを定期的に見直すことでコストを最適化できます。特に、同一AZ内の通信ではデータ転送料金が抑えられる場合があるため、VPC配置も考慮しましょう。

5. セキュリティグループとネットワークACLの併用

Transit Gatewayはネットワークレイヤーでの接続を提供しますが、セキュリティ制御はVPC側のセキュリティグループやネットワークACLで行う必要があります。Transit Gatewayで接続を許可しても、セキュリティグループで適切な制御を忘れないようにしましょう。

6. 段階的な移行を実施

既存のVPCピアリング環境からTransit Gatewayへ移行する場合は、一度に全てを変更するのではなく、段階的に移行することをお勧めします。まずは非本番環境で検証し、問題がないことを確認してから本番環境へ適用しましょう。

まとめ

AWS Transit Gatewayは、複数のVPCやオンプレミスネットワークを効率的に接続するための強力なサービスです。Internet Gatewayが「外部との接続」を担うのに対し、Transit Gatewayは「内部ネットワークの統合」を実現します。

ハブ&スポークモデルにより、従来のVPCピアリングよりもシンプルで管理しやすいネットワーク構成を実現できます。マルチVPC環境、ハイブリッドクラウド、リージョン間接続など、様々なユースケースに対応できる柔軟性があります。

導入の際は、ルートテーブル設計の事前計画、適切なタグ付け、監視体制の構築、コスト最適化などのベストプラクティスを意識することで、より効果的にTransit Gatewayを活用できます。初心者の方も、本記事を参考にTransit Gatewayの基本を理解し、AWSネットワーク設計のスキルを向上させていただければ幸いです。

【注意】

このブログは技術に関する知識や経験を共有することを目的としており、情報の正確性に努めていますが、その内容の正確性や完全性を保証するものではありません。ブログの情報を利用する場合は、自己の責任において行動してください。ブログの内容に基づいて行った行動や決定によって生じた損害や被害について、筆者は一切の責任を負いません。

 

記事の内容の一部は、生成AIで作成しています。

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この記事の作者
StarTeller

30歳で異業種からITエンジニアへ転身し、10年以上にわたりインフラエンジニアとして様々な現場でシステム構築・運用に携わってきました。
得意分野はLinux/Windowsのサーバー構築・運用で、ネットワークやAWSなども実務で活用しています。このブログでは、これまでの業務で培った経験を基に、日々の業務で遭遇した問題の解決方法や、システム構築の具体的な手順を解説。現場のエンジニアが実際に「困ったとき」に参照できる情報を意識して投稿していこうと思っています。
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